半田山の建築士の日記

浜松市の半田山に自宅と事務所を構える建築士の日常と、ふれあういろんな人たちとの出来事や仕事の内容等いろいろ

スーパーマーケットのデザインコンペ

以前スーパーマーケットのデザインコンペに参加した時のパースを、
たまたま確認する機会があったのでそのときのことを思い出しました。

スーパーマーケットのデザインコンペ

今までその企業では古い体質からなかなか抜け出せず、画一的でパットしない建物が多いとのこと。
思い切った提案をして、新しい店舗を作って生きたいとのこと・・。


まずは印象に残らなくてはコンペで選ばれないと思い気合を入れてデザインしました。
工事予算は厳しく、この金のかかりそうな案では採用されないと思いましたが、
数点の案の中から3案に絞られるのに残り、
某鉄道企業の本社に出向き役員さんや事業担当者さんに対してプレゼンをしました。


大きな仕事で相手もかなりの大企業、大勢の方に注目される中での説明はとても緊張したことを思い出します。


かなりいい感じで受け止めてもらい、反応は上々。これはいけるかも、と思いました。


最後の質疑で依頼企業の役員さんが一言。

「これ、かなりいい感じだけど、金がずいぶんかかるよね・・。
そこのところどう考えています?」


私はプレゼンがうまくいったことに興奮していて、馬鹿正直に答えてしまいました。
「ええ、予算はだいぶオーバーしていると思います。でも今までお付き合いのあるゼネコンさんとかの無難な提案でなく、
私のような設計者からは、今までの既成概念を越えた予算がすべてではない提案を望まれたと判断しました。」
「まずは提案を採用していただいてから、コストダウンを考えていこうと思っています・・。」


数日後結果の連絡があり、残念ながら不採用とのこと。


私に声をかけてくれた若い担当者さんは、
「やはり、予算が一番大事、スーパーは中身で売っているのが商品なのだから、
建物は単なる箱でありそこにコストをあまりかけるべきでない・・となったようです。」
と話してくれました。


いろいろ考えさせられましたが、私は現在こう思っています。
デザインを売りにして店舗造りや住宅造りをしている以上、大切なことは予算だけではない。

店舗にとって一番は、訪れるお客さんがどう感じるか・・。
お客さんがまた来たい、せっかくの買い物ならあの店がいい、
せっかくの外食ならあの店に行きたいと思ってくれるか。
素材や環境、動線やデザインを大切にした上で何とか許される予算の中でベストを尽くしたいです。
それが最終的には依頼主の利益につながるはずです。


住宅にとっては住む人の満足がもちろん一番だけど、譲れないものがあります。
極力、自然素材を選択して安心安全な住宅を作ること。
そして、画一的でないデザイン性のある住宅であること。
施主や設計者だけでなく、施工を担う業者さんや職人さんにもやってよかったと感じてもらえること。
その家造りに関わるみんなが幸せな気分になれるのが理想です。


かっこつけて言うのは簡単だけど、いざ現実はそう簡単ではなく難しいですが、
今後も意地を張ってがんばっていこうと思います。


ヒロ設計室HP→

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